大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)1052 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人伊藤俊郎の上告理由一の(イ)について。

訴外Dに本件田を売り渡す代理権限があると被上告人が信ずるについて正当の理

由があつたとする原判決の判断は、原審認定判示の事実関係のもとで首肯できる。

原審認定の事実関係のもとでも、被上告人としてはDの代理権の存否やその範囲

について上告人に直接確かめるのが相当であつて、この挙に出なかつた以上、前示

正当理由ありとはいえないとする所論は、独自の見解を述べるにすぎず、採用でき

ない。

同一の(ロ)について。

原判決は、昭和三五年七月ごろ被上告人が上告人に会つた際に本件田を売つたこ

とを内密にされたい旨上告人から懇請されたことをもつてしても、被上告人がDに

おいて本件田を売り渡す代理権限がないことを知つていた証左にはならない旨を判

示しているのであつて、所論のように、右事実をもつて被上告人がDに代理権あり

と信ずるにつき正当の理由があることの資料とはしていないのであるから、右所論

を前提として原判決の違法をいう論旨は、すべて前提を欠き、採るをえない。

同二について。

原判決は、上告人はDに対し金借方委任するに際し、本件田を担保とする方法を

限定しないで、Dの処分に一任したことがうかがわれるから、Dにおいてもし本件

田を売渡担保の方法において金借しようとする場合には本件田の所有権移転につき

県知事に対し許可申請手続をとることが必要となるわけであり、上告人としては本

件田の所有権移転につき県知事に許可申請をする権限をも含めてDに代理権を授与

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したものと認めるのが相当であるとして、Dの所論許可申請が代理権限を逸脱しな

いことを判断しているものと解せられ、この認定判断は、挙示の証拠関係に徴して

肯認できるから、Dに所論許可申請の代理権限がないことをいう論旨は、ひつきよ

う、原審認定に反することをいうにすぎず、採用できず、右論旨を前提として原判

決の理由不備、理由そご、法律解釈適用の誤りをいう所論も採用できない。�

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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